2026年04月04日 うりくらげ様


いちばん読んでいただきたかった『いのちの代価』を読んでいただけて心から嬉しいです。
22話で囚人たちを犠牲にすることができなかった兄さんが、23話で、身体を取り戻すチャンスがあったのにそれを無駄にした自分にアルは怒っているのだと、ウィンリィに話すシーンがとても好きです。
世界でいちばん大切な弟の身体は、なにを犠牲にしても取り戻したいものであったはずだからこそギリギリまで迷ったのに、結局囚人たちの命を代価にすることはできなかった兄さんが、それを悔いているのが印象的でした。
けれどあのひとは、同じことがまた起こったとして、結局自分が他人の命を奪うことはできないのだろうなと思います。
だからこそ、あらゆる可能性を試せる二次創作で、それを試してみたくなったのが、最初にこの話を思い付いたきっかけだったように思います。

書いてくださったとおり、「仄暗い御伽噺」に出てくるような姉弟が、私の中のふたりなのだと思います。
見た目はびっくりするほど綺麗な天使のような子供たちで、いつも手をつなぎ合っているほど仲良しなのに、何故か不穏な雰囲気をまとっているような。
エルリック姉弟は、弟が鎧であっても人間であっても、不気味であればあるほどいいと思っています。
そもそも近親相姦というものが、家族関係も恋愛関係もすべてふたりだけで完結してしまっている閉塞的な状態であるからこそ、ふたりには、心臓の鼓動さえも共有しているのではないかというくらい、ぴたりとくっついていてほしいです。
そんな子供たちが、暗闇の中から金色の目を見開いてじっとこちらを見ているような、背中が薄ら寒くなるような姉弟を感じていただけたのなら大成功です。ガッツポーズをしてしまいそうです。

このふたりがこのあとどうなるのかは、ご想像にお任せします。
私もこのふたりの結末は決めていません。だからこそ、読んでくださった方の頭の中で、ずっとあてどない旅を続けていってくれればいいなと思います。
私の中でも、世界でふたりぼっちの姉弟がいつまでも旅を続けているからこそ、こんな話ばかり書いてしまうのだと思います。
ふたりのことを愛していますが、ずっと旅をしていてほしいからこそ、決して幸せにはなってほしくないなと思ってしまいます。

「憑りつかれるタイプの作品」というのは、自らも昔読んだ素晴らしい二次創作の数々が、呪いのように胸に残っていつまでも消えない私にとって、最高のほめ言葉です。
言葉は悪いですが、私も人に呪いを残せるくらいのものを書きたいと常に思っています。

私の中の姉弟像を代表するような作品を読んでいただけて本当に嬉しかったです。
ありがとうございました。


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